去年7月末にまとまったお休みがありまして、18きっぷシーズンにこれだけまとまった休みがあるのは珍しいなーと思ったので雑な旅行に出ました。
主目的のはっきりしない散漫とした旅行のことを「雑な旅行」と呼んでいるのですが、実態としてはだいたい複数の副目的を束ねて1個の旅行にまとめ上げる感じです。なので「何しに(何を主目的に)旅行に行ったの?」みたいに聞かれるとちょっと困ります。最近だとだいたい未乗区間の乗りつぶしと、鉄道むすめスタンプラリーの収集と、駅メモの新駅収集という3大副目的がついてまわります。
でも、駅メモの「ため」に旅行をしているわけではないので、あくまで副目的です。今回の主目的って何だろうって考えて見ると、東北の沿岸のいまを直接この目で見たかった、というのが大きかったと思います。元々リアスシーライナーには乗ってみたいなと思っていたのですが、途中がBRT区間になってしまってそれは叶わないだろうなという思いもあり。
そしていきなりの雑行動がはじまります。早起きには弱いので夜出発です。
0日目・1日目
関東を抜けて福島入りする区間まではもう何度も乗っていますので、いっそ夜行バスでショートカットしてしまってはどうだろうと考え高速バスを検索したところ、郡山までの夜行バスが4200円と安くてかつ空いていたのでした。学生の頃の貧乏旅行癖が未だに抜けていません。
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Googleマップのタイムライン機能が旅の様子を記録してくれます。便利ですね。スクリーンショット左上の時計がリアルタイム感あります。
というわけで早朝の郡山が1日目のスタート地点となりました。朝食はコンビニと松屋しか空いていなかったので松屋です。
磐越東線でいわきへ向かいます。「東北の沿岸を」と言いつついきなり沿岸から離れてしまったので軌道修正します、というのは言い訳で実際にはいわき行きの夜行バスが無かったのと磐越東線が未乗だったからです。いわき⇔郡山の区間ならそのうち何らか乗る機会があるだろうと思っていたのですがなかなか訪れず、結局は理由をこじつけて乗りに行くような形になってしまいました。東北地方には南北を縦貫する幹線同士を東西方向に連絡するローカル路線が他にもいくつかあり、大多数が未乗です。
キハ110は力強いエンジン音と「この列車は(ここで一拍置いて)ワンマンカーです」という独特のアナウンスを聴くために定期的に乗りたくなるのですが、見るたびにボロボロになっていくのがちょっと不安です。
朝からこんなに駅メモでチェックインボタンを連打する人はそうそういないようで、いとも簡単にデイリー300位へのランカーへと躍り出ます。
いわきでは次の列車まで2時間以上空きがあり駅ビルの喫茶店へ。ここで初めて今後の詳細な旅程を練ります。思い描いていたルートはあったのですが、本当に乗れるのか、宿をどこにするのかといった細かい決めは出かけてから考えることもあります。えきから時刻表と楽天トラベルさえあれば何とかなります。
ここからは常磐線。震災前には乗り通したことがある区間です。当時は415系が全盛期だったような。
一番最初に書きましたが18きっぷシーズンなので18きっぷで旅行しています。従って普通列車にしか原則乗車することが出来ません。
これは普通列車です。ずいぶん立派ですね。
ほら、「普通 2ドア」って書いてあるでしょ。
なぜだか知りませんが、2017年7月からいわき~竜田間(当時)では元々「スーパーひたち」として運用されていた651系が1編成のみ普通列車で運用されるようになりました。
1編成だけというのが不思議で、これ以外の車両はE531系で運用されています。何かのアピール目的にしてもちょっと中途半端なような。とにかくこれで竜田に向かいます。
ザ・海という感じの海。天気のせいもあるかもしれないけれど、常磐線沿線って海岸線は比較的まっすぐなのに、どうしてこう海そのものは荒っぽい感じに見えるんだろうね。
さて、竜田から先は運転見合わせ区間でした(執筆時点ではさらに1駅北の富岡まで運転再開済)。
というわけでまたバスです。記事タイトルに「鉄道」とか「18きっぷ」と銘打たないのはこの旅行が全然鉄道の旅ではないからです。最初の高速バスは18きっぷでは乗れませんが、JR東日本が運行している代行バスは18きっぷで乗れます。代行バス乗り場がそこそこ立派なのもちょっと複雑な気持ちがしますね。2020年3月までには残りの不通区間も運転再開するそうなので、長いと2~3年程度は使われることになります(竜田はすぐに使われなくなりましたけども)。
なおこの当時の代行バスは1日2往復しかありませんでした。それもそのはず、この代行バスは帰還困難区域を特例で通行できる国道6号を利用します。バスが出発して暫くすると天井から自動で液晶モニタが降りてきて、現在通行中の区間の空間線量をリアルタイムで表示する仕組みも完備。こんな区間を何度も往復できるわけがない……と思っていたのですが、最初は試験運行的な位置付けだったのか、現在では5往復ほどに増えているようです。
車内に「撮影はマナーとモラルを守って」とか「バス内部は撮影しないように」との案内があったあたり、よほどマナーが悪かったのでしょうか。まあ、あんまり人の事は言えませんが。
車窓からは、いくつもの送電線と鉄塔の先にクレーンが。
ほかにも、
- 除染で出たと思われる黒いゴミ袋
- 脇道だけでなく民家の入口ごとに設置されている高いバリケード
- 完全に放棄され朽ちているゲームセンター
- 倒壊したままの民家
などなど、「帰還困難区域」という現実を見せられるのには充分でした。
50分ほどで浪江に到着。運転再開区間は浪江以北ですが、代行バスは原ノ町まで直通しているため急いでいる場合は原ノ町まで乗り通すようアナウンスがありました。急いでいないので浪江で下車、降りたのは自分1人だけ、現在時刻は11時前。
ここ次の列車まで1時間超の待ち時間です。駅前を少し歩いてみたのですが、営業していると思わしき店舗は不動産屋しかなく、雨ということもあり足場が悪かったので待合室に戻ってきておにぎりを食べて過ごしました。そもそもこの写真のモニター、この情報量ならモニターでなくても良いような気がしますが、将来的なことも考えてでしょうか。
北から浪江までやってきて折り返す車両は東北の旅の定番701系、ロングシートの憎い奴です。しかも仙台まで直通という至れり尽くせりっぷり。帰ってからWikipediaを見てて知ったのですが、浪江はホームが高いため、東北地方の低いホームに合わせて床面が下げられているE721系は入線できないようです。701系が廃車になり始めたらどうするのでしょうか。それまでに運転再開してE531系が水戸からやってくる算段なのか、それとも東北各地でお役御免になった701系をいわき~原ノ町間に集結させてやり過ごすのか。後者かなぁ。
ここから先、内陸部に移設・高架化して再開した区間も通ったのですが特筆することもなく、一気に名取に向かいます。
長くなるので、「その2」に続く。